小僧寿し上場維持に、しかし中期経営計画は達成できず
小僧寿しは19日22時過ぎに4Q決算を発表した。今回の決算でもっとも注目されたことは「債務超過を解消できるかどうか」でした。
結果は
- 純資産はプラス確保⇒債務超過解消
- しかし黒字予想は赤字
だった。決算の結果次第で株価は大暴落が予想されただけに、株主たちは大喜び、株式掲示板は歓喜の書き込みでお祭り状態となりました。株価も発表の翌日は最高値43円(前日終値29円)まで上昇するなど大盛り上がりの展開になった。
しかし20日の終値は30円とたった1円高で終わり、さらに翌日は27円と発表前よりも下がる株価になりました。なぜ最大の悪材料を解消し企業の株価が冴えないままなのでしょうか?
つまずいた中期経営計画
小僧寿しが2019年8月に発表した中期経営計画に理由がありそうです。
2019年12月期 | ||
---|---|---|
予想 | 現実 | |
売上高 | 6035 | 5804 |
営業利益 | ▲55 | ▲195 |
経常利益 | ▲35 | ▲217 |
当期利益 | 5 | ▲116 |
(単位は百万円)
全ての数字で中期経営計画の予想値を達成できず。たった半年前に立てた予想もクリアできないようでは、2022年に売上高100億円越えという目標も「絵に描いた餅」になるかもと思わざるを得ません。そういった状況が翌日以降の株価に表れているのかもしれません。
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期待のデリバリー事業
デリバリー事業を今後成長戦略の柱にすると中期経営計画でも、今回の決算資料にも書かれています。ではそのデリバリー事業の見通しはどうなのでしょうか?
持ち帰り寿司市場の減退、一方デリバリー市場では拡大が起きているようです。デリバリーとはピザの宅配でおなじみですが、それに限らずカレーや和洋ファーストフード、お弁当などをネット経由で自宅まで届けてくれる仕組みです。小僧寿しはデリズというデリバリー会社を子会社に持っているので、
- 脱持ち帰りで寿司の売上増
- デリバリーブームで会社の売上増
を狙っているようです。ただここで問題は世の中には
- UberEats
- 出前館
といったデリズ以上に大きなシェアを持ったライバルが存在することです。UberEatsはデリズよりも(日本では)後発の企業のようですが取扱商品はデリズよりもはるかに大きく、例えば吉野家のホームページにはデリバリーは上記の「UberEats」と「出前館」しか紹介されていません。
日経新聞にも以下のような記事が掲載されました。
飲食店からの宅配需要は伸びているが「UberEats」や「出前館」などの代行サービスが市場のシェアを握りつつある。競争環境がさらに厳しくなるなか、どのような対策を打つのかに注目が集まる。
日本経済新聞
検索順位で比較
独自の視点からデリズの現状を分析してみましょう。
検索順位チェッカーを使い「デリバリー」という検索ワードで3社のホームページが何番目に表示されるのか、言い換えればネット上での注目度を調べてみましょう。順位が高ければ高いほど注目度も高く、売り上げにも貢献します。結果は以下の通りです。
順位 | ||||
---|---|---|---|---|
Yahoo | Bing | |||
デリズ | 28 | 30 | 圏外 | |
出前館 | 1 | 1 | 1 | |
UberEats | 35 | 37 | 32 |
検索結果では出前館が1位独占という結果に。デリズも検索エンジン対策をするべきでしょう。
アプリ
ネットで注文といってもパソコンからというよりスマホからが手軽ですし便利でしょう。仕事終わりの電車の中からスマホで注文し、帰宅してすぐに受け取り食事するなんて使い方が予想されます。
ではGooglePlayで「デリバリー」で検索してみます。
検索結果には出前館やUberEatsのアプリはありますが、デリズのアプリは見当たりません。デリズのホームページでアプリ情報を探しても見当たりません。
アプリを使わなくてもブラウザ経由で注文することはできますが、ブラウザを立ち上げて注文というのは決して便利とは言えません。スマホ対応の遅れから業績が落ちた企業はいくつもあります。デリバリー事業を成長戦略の柱にしている企業とはとても思えない内容です。
まとめ:まだまだ危機は続く
今回
- 中期経営計画の遅れ
- デリバリー事業の見通し
を上げましたが小僧寿しの未来は暗いのではないかと思いました。中期経営計画や決算資料からは意気込みは伝わってくるのですが、内容が伴っていないように感じます。今回の決算で上場廃止は辛うじて回避しましたが、株価の低迷がまだまだ安心はできないと教えてくれているようです。